沖縄生まれの地元企業として地域に根差し、世界トップ水準の安全と品質のもと、進化を続ける日本トランスオーシャン航空株式会社で、「地上のパイロット」として活躍する長嶺 悠太(ながみね ゆうた)さん(那覇市出身)に、「運航管理者(うんこうかんりしゃ)のお仕事」について、お話を伺いました!
1967年、沖縄県の島々を安定的に結ぶ「うちなーの翼」として、地元の航空会社「南西航空(なんせいこうくう)」が誕生しました。1993年には、日本トランスオーシャン航空株式会社(JTA)へと社名を変更し、812名(2019年10月1日現在)の社員が在籍しています。
JTAは、沖縄に生まれ育ったうちなー企業として、沖縄らしさを取り入れたサービスや沖縄の魅力を世界に向けて発信するとともに、うちなーの翼として県民の夢や希望を運ぶため、新たな価値創造に挑戦しています。
私たち運航管理者(うんこうかんりしゃ)は、「地上のパイロット」とも呼ばれており、航法や気象、関連法規、通信、英語など幅広い知識のもと、飛行計画の作成や飛行監視(ひこうかんし)を通じ、パイロットをサポートし、お客さまの安心・安全な「空の旅」を支えています。
若手やベテランを問わず、同じ責任と権限のもと業務を行っており、様々な状況において冷静な判断が求められる仕事です。
運航管理者(うんこうかんりしゃ)は、気象状況や運航情報など、様々な情報をもとに、「飛行計画」を作成しています。出発前には、パイロットと「ブリーフィング」と呼ばれる、飛行前の打ち合わせを通じて、飛行ルートや飛行高度、飛行機への搭載燃料(とうさいねんりょう)などが記載された「飛行計画」の確認や調整を行います。
私たちが作成する「飛行計画」の主な項目について説明します。
まず1つ目が、目的地までの飛行ルートです。飛行機はあらかじめルートが定められており、目的地まで直線距離で好き勝手に飛行することはできません。そのため、各航空会社とも、あらかじめ設定されたいくつもの飛行ルートの中から、運航情報や気象情報を基に最適な飛行ルートを選びます。例えば、Aルートだと雷雲(かみなりぐも)の近くを通り、機体が揺れる可能性があるため、Bルートにしよう、というように飛行ルートを決めています。
2つ目に、飛行機の飛行高度です。上空8,000mを飛ぶのか、10,000mを飛ぶのかといったように、飛行高度によって気象状況が変動することもあり、強風による揺れ、雨雲への衝突(しょうとつ)による揺れなど、気象状況による飛行機への影響は様々に考えられます。そのため、お客さまの安全な空の旅に向け、最適な飛行高度の設定はとても重要です。
3つ目に、飛行機に搭載(とうさい)する燃料の量です。例えば、悪天候により飛行時間が1時間程長引きそうだといった場合には、通常の飛行よりも更に燃料が必要となります。このように、目的地の気象情報など、様々な情報を基に搭載(とうさい)する燃料の量を決めています。
飛行機が上空を飛行している際、計画通りの飛行であるか、飛行状況に不具合はないか等を確認するため、飛行状況を監視(かんし)しています。例えば、出発前に調整した飛行ルートや飛行高度では、気象状況の影響から飛行機の揺れが想定される場合に、パイロットへ高度変更等のアドバイスを行っています。このように、飛行中も最適な飛行ルートや飛行高度について、適宜情報を発信し、密なコミュニケーションに努めています。また、意思疎通に齟齬(そご)がないよう、コミュニケーションは日本語で行うこともあります。
また、機内で緊急事態が発生した場合には、パイロットのみならず、客室乗務員との連携も重要となります。例えば、お客さまの体調急変など、緊急事態発生時には、パイロットや客室乗務員と情報共有し、解決に向け連携して取り組みます。
運航管理者(うんこうかんりしゃ)は、国家資格の「運航管理者技能検定」合格に加え、会社独自で実施される社内資格の取得が必要です。運航管理者技能検定では、航空法や無線通信、気象など計6科目の学科試験の他に、試験官に対するブリーフィング等の実技試験が行われます。社内資格については、各航空会社で内容は異なります。JTAでは、沖縄県のみならず就航先各地の気象状況など、運航環境に合わせた試験内容となっています。これらの資格取得に向けて、会社の手厚いサポートに加え、先輩方の指導・協力のもと日々勉強を重ね、採用5年目に国家資格を取得することができました。
目的地の空港滑走路が突如閉鎖となった時の対応ですね。
飛行機は、滑走路が利用可能であることを前提に、目的地の空港へと向かいます。私が担当していた便の目的地であった空港で、別の飛行機が滑走路から動けなくなった等の理由で、突如滑走路が閉鎖になったことがありました。このようなトラブルの発生時には、様々な情報が飛び交う中、適切な情報の見極めやパイロットとの綿密なコミュニケーション、搭載燃料から上空待機時間の計算、目的地以外の空港への着陸調整など、冷静な判断と対応が求められます。そのような状況の中、パイロットとのコミュニケーションに加え、冷静な判断力をもって、チームで困難に立ち向かった結果、飛行機を別の空港へと無事に着陸させることが出来ました。
予見できない不測の事態が発生したとき、様々な情報を基に、チーム一丸となって冷静に判断し、解決への手立てを見つけ対応する、というのはプレッシャーはありますが、それらが私たちの働きがいや仕事への達成感、使命感へと繋がっています。
幼い頃から飛行機が好きで、飛行機の飛び立つ姿を見て「かっこいいな」と思っていて、ぼんやりと“航空業界”に対する憧れを抱いていました。旅好きな両親と共に、観光地を巡るための移動手段として、また、高校卒業後県外の大学へと進学し、帰省等で飛行機をよく利用していたこともあり、飛行機は大事な移動手段であると同時に、私たちの生活を支える交通インフラとして、昔からより身近で、欠かせない存在です。
身近な存在であるのと同時に、憧れの存在である飛行機に携わる仕事に就きたい!という想いから、就職活動時に航空業界について勉強を重ねました。その過程で、「運航管理者」という職業に出会い、沖縄生まれの企業であるJTAへの入社を志望しました。
チームで協力・連携し、予測不能な事態への対応や定刻通りの離発着、安心安全な運航環境の提供など、お客さまが“当たり前”としているサービスの提供に、私たちが加わっているということが、仕事へのやりがいへと繋がっています。
私たちは日々の業務において、速やかな情報収集・解析と、時と場合に応じた判断・対応が求められます。そのため、運航管理業務を行う上で、「臨機応変さ」はとても重要です。また運航管理業務では、パイロットをはじめ、客室乗務員やグランドハンドリングスタッフなど、様々な部署との連携が必要不可欠な業務です。加えて、相手が求めていることをしっかりと受け取り、それに対して自分の意図を正確に伝える力である、「コミュニケーション能力」も必要な能力です。
お客さまを航空機へとお迎えするため、航空整備から運航管理業務まで様々な仕事が連なっています。お客さまの安心安全かつ快適な空の旅の提供に向け、各部署が連携し、スタッフ同士がバトンを繋げられるよう、社員一人ひとりが「最高のバトンタッチ」を意識した、より良いコミュニケーションが重要です。バトンを受け取る方は、相手から求められていることを正しく受け取ることが大事ですし、バトンを渡す方に対しても、正しいコミュニケーションで繋ぐことに加えて、次にバトンを受け取る人が、受け取りやすいような配慮が出来ることが、理想のコミュニケーションだと考えています。様々な部署と関わっていく中で、「最高のバトンタッチ」が出来たときに感じる嬉しさや喜びが、仕事のやりがいや達成感へと繋がっています。
JTA運航管理グループには約20名の社員が在籍しており、お客さまの安心・安全な空の旅に向けて、日々の業務に取り組んでいます。
勤務は、朝4時30分から全てのJTA/RACの飛行機が到着した後23時までの間で、8時間交代のシフト勤務となっています。私たちは、日本トランスオーシャン航空の運航管理グループであると同時に、琉球エアーコミューターの運航管理業務も並行して行っております。1日あたり、JTAが約70便、琉球エアーコミューターが約40便の計約110便をチームで担当しております。那覇空港国内線旅客ターミナルビル内の事務所に、10名程の社員がシフト勤務で常駐し、運航管理者と運航補佐で協力して業務に取り組んでいます。
JTAでは、有給休暇など、各種休暇が取得しやすい職場です。また、男性社員が、育児休暇を取得している実績もあり、福利厚生も充実しています。
また、国家資格などの資格取得に向けた教材代や、県内外で開催される勉強会の費用など、社員の教育費用や受験費用の負担を通じたサポートなどが受けられます。専門知識を要する運航管理業務については、ゼロからスタートされる方がほとんどですが、JTAではこのように学ぶ機会も多く、また資格取得へチャレンジできる環境が整っています。
その他、バスケットボールや野球等のクラブ活動や、ビーチパーティーなどのイベントも充実しており、社員間の交流も盛んです!
JTA は、地元に根差した「うちなーの翼」として、地域社会をより豊かにするため、航空輸送業務に加え、文化教育や社会福祉など地域貢献活動を展開しています。次世代育成のため、JAL折り紙ヒコーキ教室やJTA航空教室の開催、那覇ハーリーの一般競漕への参加、マラソン大会など県内各種イベントへの協賛など、地域イベントへ積極的に参画しています。令和初の「那覇ハーリー」では、職域Aブロック総合で準優勝することができました!地元沖縄の企業であるJTAの一員として、そしてJALグループの一員として、地域貢献活動を通じて、沖縄県を更に盛り上げていきたいと思います!
就職活動をする上で、航空業界を目指している方やそうでない方、この業界に限らず、インフラであれば電気・ガス・鉄道など幅広い分野がありますし、また、サービス業の分野も豊富にありますので、様々な業界業種についてリサーチした上で、航空業界、そしてJTAを選んで頂けたら嬉しいですね。
JTAは、上司や先輩、同僚が親身になって仕事を教えてくれる、とてもアットホームな会社です。ぜひJTAに熱い気持ちをぶつけてください!
機長は、運航管理者の承認がなければ飛行機を出発させてはならないと航空法に規定されています。つまり、航空会社は運航管理者がいないと飛行機を運航することができないのです!そんな責任の重い業務を担うため、運航管理者になるためには国家資格を取得する必要があり、学生のころと同じくらい勉強することが求められますが、その分、とてもやりがいのある仕事だといえます。JTAでは、毎年業務企画職として採用した社員の中から数名を運航管理者が所属するオペレーションコントロール部に配属して運航管理者の育成に努めています。また、異動や退職等で運航管理者の資格保持者が不足した場合には中途採用を実施することもありますので、運航管理者の仕事に興味のある方はぜひHPをチェックしてみてください!