VOL.9【NAHA FRONTIERページ】
MRO Japan株式会社

 那覇空港で事業を開始したMRO Japan株式会社で、空の安全と信頼を支える航空整備士として活躍する、若手社員「山内 征輝(やまうち もとき)」さんに航空整備のお仕事について、お話を伺いました。


山内 征輝(やまうち もとき) さん


■ MRO Japan株式会社入社のきっかけ

 私は、沖縄工業高校卒業後の2016年4月に、MRO Japan 株式会社へと入社しました。高校3年生の就職活動時期に、進路担当の先生より、沖縄県に設立して間もない航空整備会社があることを教えて頂いたのが入社のきっかけです。
 高校入学時から、航空整備関係の仕事に就きたいという目標がありましたので、高校卒業後すぐに正社員として働けるというのは、数少ないチャンスであり、また一番の魅力であったことから、入社を希望しました。高校では機械操作や電子回路について学んでいたこともあり、仕事では高校で学んだ「ものづくり」が生きていることを日々実感しています。


■ 航空整備士の仕事内容

 航空機整備の仕事は、飛行機の出発前に行う「ライン整備」と、格納庫内で定期的に行う「ドック整備」の大きく分けて2つの整備点検業務があります。弊社では主に「ドック整備」を実施しており、改修や機体塗装、運航中に発生した損傷・故障などの修理を行っています。整備期間は、機体の症状によって変動しますが、1機あたり20日~30日ほど要します。






■ 整備の専門分野

 私たち整備士は、「構造整備」「機体整備・客室整備」「電装整備」「機体塗装」の4つのゾーンのいずれかに配属され、チームで作業を行います。私は現在、「構造整備」を担当しており、飛行機の胴体や主翼、尾翼などの構造部材の点検・修理、強化などを行っています。
 2つ目の「機体整備・客室整備」では、ランディングギアなどの飛行機各部位の分解・組立、洗浄、点検、修理、部品交換、給油、作業試験や各種改修作業を、3つ目の「電装整備」では、飛行機の無線・航法、その他電子電気関連の整備や、新しく追加または改修するシステムの電気・電子配線などの作業を行います。4つ目の「機体塗装」では、機体の再塗装作業を実施しています。このように専門性の高い業務を、それぞれの担当整備士が責任を持って作業しています。



■ 仕事の楽しさ・働きがいについて

 航空整備の仕事では、自らの手で憧れの飛行機を整備することで得られる喜びや楽しさが、仕事へのやりがいへと繋がっています。私が担当している構造整備の場合だと、部品交換のみならず、外板補強など、手順書をもとに、自ら考えて1つ1つ作業を行うため、ものづくりが好きな方にとっては、その作業への楽しさに加えて仕事へのやりがいを感じることができると思います。
 また、人類の英知が詰まっている航空機は、不具合が発生した場合、一筋縄では解決できません。そこで、不具合発生の原因解明に向け、さまざまに工夫を重ねて作業を行っています。故障の原因を解明していく過程に興味を持ち、原因解明に向けて真摯に作業に取り組める人は、整備業務に対して更なる楽しみを感じることができると思います。
 そして、私たちがチームで助け合いながら整備した航空機が無事に飛び立つ時、仕事への達成感が得られる瞬間です。その達成感がまた次の仕事(整備)への働きがいに繋がっています。



■ 仕事で心がけていること

 私たちは、エアラインの「安全」と「信頼」を支える大切な役割を担っています。そのため、1つ1つ作業を的確に行うことが必要です。作業の節目で「確かめ」と「見直し」をしっかりと行い、責任をもって作業することを、常に心がけています。


■ 目指すキャリア像

 将来は、MRO Japan株式会社の1期生として、会社の更なる成長・発展に向け、後輩達を引っ張っていける存在になりたいと思っています。そのためにも、確実な航空整備作業が行える航空人材へと成長し、整備士として1人前になることが目標です。その目標達成に向け、社内資格や上位国家資格の取得を目指し、日々の業務に取組んでいます。


■ 職場環境

 仕事においては、教官や先輩のサポートに加え、チームワークのもと皆で助け合いながら、楽しく業務に取り組んでおり、良い職場環境の中で仕事ができています。 アフターファイブでは、先輩や仲間との食事会を通じて、コミュニケーションを図ったりと、仕事内外問わず、とても良い関係が築けています!


■ 航空整備士の資格

 私は、「構造修理」という分野専門のため、航空機の機体構造や部品などの整備を行うための国家資格である「航空工場整備士」という資格取得に向け、日々取組んでいます。まずは、社内資格の取得に向け、教官や先輩から日々サポートを頂きながら、勉強に励んでいます。構造修理における社内資格は、高い専門性のため、複雑に細分化されています。資格取得に向け、努力を重ねる中で、日々の成長を感じています。
 国家資格については、「航空工場整備士」のほか、航空機整備後の、安全基準への適合性についての確認行為ができる「一等航空整備士」などの資格があり、資格ごとに業務範囲が定められています。
 小型飛行機・ヘリコプターなどの整備後の確認ができるのが、「二等航空整備士」「二等航空運航整備士」。旅客機や大型ヘリコプターの整備後の確認ができるのが「一等航空整備士」「一等航空運航整備士」となっています。
 「一等航空運航整備士」「二等航空運航整備士」などの航空運航整備士は、航空機の駐機場で行う、ホイールなど部品交換や出発前の点検作業など実施後に、航空機の安全性確認ができる資格です。「一等航空整備士」「二等航空整備士」の航空整備士は、航空運航整備士の業務内容に加え、格納庫内で行うエンジンなどの交換作業や機体構造の修理などの、作業実施後の安全性確認ができます。
 このように様々な国家資格があり、これらの取得に向け、弊社の整備士は、日々研鑚しています。


■ この仕事に向いている人はどんな人?

 植草総務課長のお話にもあったように、この仕事は、飛行機に興味がある方、自分で手を動かすことに興味がある人は、特に向いている仕事だと思います。 私は昔から体を動かすことが好きで、小学校から高校までサッカー部に所属していました。工業高校へ進学し、授業の中で機械整備やものづくりを経験し、自らで手を動かし作業することへの楽しみを見つけることができ、その経験は今の業務においても活きていることを実感しています。


■ 学生にむけてアドバイス

 航空整備は、チームで仕事をするため、チームワークが非常に重要です。また、メンバー1人ひとりの思いやりで、仕事が成り立っているとも言えるため、常にコミュニケーションを図り、助け合いながら仕事をしていくことが必要です。
 私は高校卒業後、右も左もわからない状態で航空業界に入り、上司や先輩、同僚社員の皆さまをはじめ、多くの方からのサポートを頂き、日々前進することができています。航空整備士は、入社時の制限も多く、チャレンジすることさえも難しい仕事なのですが、弊社では、誰でもチャレンジできる環境がありますので、多くの方にチャレンジして欲しいと思います。
 また、航空整備の仕事は、航空機の知識に加え、英語力も必要になってきます。というのも、航空機の作業手順書というマニュアルに沿って作業をしますが、ほとんどの飛行機が外国産です。そのため、飛行機の作業手順書は基本、定型英語文となっており、整備を行う際、その読解が必要です。
 私は、高校時代から英語が得意ではありませんでしたが、作業書を通じた英文への勉強や慣れを通じて、今では英文の作業手順書は読めるまでに成長することができました。


■ 地域貢献への取組み

 私の就職活動時は、航空整備業界の情報を得ることが難しかったため、未来の人材に広く航空整備業界や弊社の情報を届ける活動がしたいと思っています。弊社で開催している、高校向けの会社説明会などに参加し、仕事内容や自身の経験談などの情報発信通じて、地域に貢献していきたいと考えています。




 MRO Japan株式会社

 ★WEBサイト http://www.mrojpn.co.jp/